アレクサンダーテクニーク / 海津賢 (かいづけん / Ken Kaizu)

アレクサンダーテクニークや音楽や、いろいろなことを書いていきます。

ロンドン

「けんはホロコーストを知っているか?」

ロンドンで5週間のアレクサンダーテクニーク研修を終えて、いまはイスラエルで研修中です。ロンドンではDorothea Magonet先生のレッスン、Peter & Ellie Ribeaux先生の研究生クラス、そして思うところがあってIlana Machover先生の学校に学生として通いました。友人になった先生と練習会をしたり、イギリスに住んでいる日本の先生たちと会いました。


Ilana先生は84歳の先生です。生きたアレクサンダーテクニークという様相です。もしかしたらロンドンにある学校では、いま一番古い歴史を持っているかもしれません。妊娠、出産、育児についてのアレクサンダーテクニークの本を書かれているので、ご存知の方もいることでしょう。

6月に3週間この学校に通ったとき、ここで学び直したいと思い、今回は5週間お世話になりました。ロンドンの学校の1学期は2期に分かれていて、5週間やって、間に休みがあり、また5週間あります。私は前半の5週間を通いました。もっと通いたかったけれど、ビザの問題で難しかったです。Ilana先生や学生、この学校で知り合った多くの先生に、来年またお世話になりますと言い、別れました。



Ilana先生はたびたび「けんはホロコーストを知っているか?」と聞いてきました。私は知っていると答えました。それ以上なんと言えればいいか分かりませんでした。先生は私の答えを聞くと、それならいい、といつも言いました。ある日、彼女のインタビューが載っている本を見つけて読んでみました。そこには、周りの多くの人をホロコーストで亡くした体験が書かれていました。私はこのようなバックグラウンドを持つ人とお会いしたのは、はじめてでした。


昨日になって、その学校を閉校したとの知らせをIlana先生から受け取りました。ご高齢だしいつかはと覚悟していましたが、その日がやってきました。大きな喪失感。短い間とはいえ本当に良くしていただいたし、楽しみながら真剣に学び続ける事をご本人の在り方から学べたことはとても大きかったです。とてもとても優しく厳しく、根気強く教えて下さりました。この経験は宝物です。